FCバルセロナの「ロゴ」と経営状況
カンプノウでのFCバルセロナの試合を観に、スタジアムに行きました。
運のいいことに、観に行った試合はスペインリーグの最終節で、バルセロナの優勝パレードと、下部組織から24年間バルセロナに在籍したシャビの移籍セレモニーもついでに見ることができました。
また、試合観戦とは別の日に、バルセロナでは、カンプノウツアー、そしてマドリードでは、サンティアゴベルナベウツアーにも行き、大人げなくはしゃいで帰ってきました。
サッカーファンには本当におすすめです。
ほぼ年中、スタジアムツアーはやっているので、試合がない時でもいつでも行けます。
全ての映像を見るつもりで行くと、半日はつぶれます。
私は、どちらとも2-3時間くらいだったのですが、まだ時間が足りんなーと思いながら、名残惜しくスタジアムを後にしました。サッカーにあまり興味ない人には、おそらく2時間あれば充分ですが。それでも、スタジアム自体が美しいので、行く価値は十分になると思います。
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さて、カンプノウスタジアムのストアでFCバルセロナのユニフォームを見ながら疑問に思い始めたことがありました。
販売されているユニフォームの表には、「カタール航空」の文字が並んでいます。
それに対して、裏には、「ユニセフ」の文字。
これ、なんだか不思議。
といういことで、調べてみました。
まず、一点目。なぜ、FCバルセロナのユニフォームにロゴが入ったのか。
これは、チームの財政難と関わっています。
1899年にバルセロナが創設されて以来、100年以上もの間、一切のロゴをユニフォームには載せてきませんでした。バルセロナは、「mes que un club(クラブ以上の存在)」という言葉をスローガンに掲げていますが、チームやサポーターも営利企業のロゴを入れないことを誇りにしてきたところがあります。
第二点目の、ユニセフとはどういう契約なのかという疑問の答えになりますが、バルサはユニセフのロゴを載せるために、年間150万ユーロ(約2億円)の寄付をする、という契約を交わしました。なので、バルセロナは、お金をもらってではなく、お金を払って、あのユニセフのロゴを載せています。
実際、社会貢献という意味では、バルセロナは、児童支援のユニセフだけではなく、ポリオ救済のビルゲイツ・メリンダ財団などにも寄付を行っています。2006年からクラブの収入の0.7%を、また2010年から選手やマネージャーの給料の0.5%を、様々な基金へ寄付しています。
しかし、サッカーがグローバルなスポーツとなり、選手の獲得競争が激化し、移籍金や年棒が高騰するに従って、多くのクラブの経営を圧迫するようになりました。バルセロナもその例外ではありません。結果、2009-2010年度の決算報告では、バルセロナの負債は、4億3000万ユーロ(約560億円)まで膨れ上がっています。
負債が膨れ上がったチームの経営を、どのように立て直すか。
そこで、バルセロナは新たな収入源としてスポンサー契約を求めました。紆余曲折がありながらも、最終的に合意したのは、カタール財団。2011年のクラブ総会で、賛成多数で契約が決まり、5年半で1億7000万ユーロ(約230億円、年間約40億)のスポンサー収入を得ることに。
カタール財団の文字がはじめは入っていたのですが、3年後にはスポンサー名を変更可能という契約により、2014年からは、「カタール航空」のロゴとなり、バルセロナのユニフォームには、クラブ始まって以来、初めて企業のロゴが入ることとなりました。
さて、これを良しとするかどうかです。
実際に、経営は一気に持ち直してきています。
わずか2シーズンで、負債は4億3000万ユーロから、3億3000万ユーロに削減。
経営状態が良くなるということは、良い選手を獲得できるし、チームの若手育成にも費用を使うことができます。また、バルセロナは、ユニセフへの寄付を増やすことも検討しています。
しかし、バルセロナのご意見番である、往年の名選手ヨハン・クライフは、いち企業のロゴを載せることは、バルサの歴史を否定し、ユニフォームを汚すことだと言っています。多くのサポーターもこれと同じで、心情的にはロゴに反対しているでしょう。
私としては、バルセロナほどのクラブならば、他にも解決策があると思っています。
長期的には、やはり、ファンにとっても選手にとっても、「mes que un club(クラブ以上の存在)」であり続けて欲しいと思います。
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