北アメリカ(アメリカとカナダ)の日本食と農業
南アメリカから北アメリカに戻ってきた後は、カナダのトロント・モントリオールと、ニューヨークを訪れました。
今回の世界一周では、観光名所などを訪れると同時に、それぞれの国や都市で、日本人としてどのような事業ができるのか、ということを考えながら回っています。
北アメリカは、最も事業チャンスがあるのではないかと思っている地域。
だからこそ、この2週間、アメリカとカナダに関しては、観光よりも現地を調べたり、起業家などの人と会ったりすることに力を入れました。
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まずは、カナダについてです。
トロント・ピアソン国際空港に着いた瞬間、何とも言えない安堵感が。
カナダには、過去に五回以上来ていて、もうある程度慣れているということもあるのでしょうが、それ以上に、雰囲気がアメリカとは全然違います。
空港に着いて周りを見渡すと、人の表情が一気に柔和になります。空港のイミグレーションも、アメリカのように殺伐としていません。
なんとなく、みんな余裕があって落ち着いている感じです。
例えば、カナダでは、高い税金を払う必要がある代わりに、医療費などはかかりません。高い税金を払うと言うことは、競争原理が働きにくくなりますが、国民の間で貧富の差がでにくい。成熟国の余裕のある空気が、空港にも、街の雰囲気にも、でていました。
現地に住んでいる従兄弟から聞いた話ですが、トロントは、北アメリカ大陸の中で、住みたい街トップにいつもランキングされるそうです。
食の面では、カナダでは、日本風の居酒屋とラーメンが人気でした。
日本食は、ここ5年くらい、まだまだ小さいですが徐々にカナダでブームになってきているようです。
トロントで食べた塩ラーメンは、おお、これはっ!と思わせてくれるくらい、美味しかった!
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上に述べたカナダとは隣の国なのにも関わらず、まさしく逆を行って、貧富の差をべらぼうに生みつつも、才能のある人を世界中から惹き付けてやまない国がアメリカ。
その中心地のひとつ、ニューヨーク。
久しぶりに来ると、なんだか初めに来た時と印象が違います。
2012年の1月に転勤できた時は、おお、これがアメリカかー!!をワクワクしながら自由の女神を遠目に見たのを覚えていますが、今回は事業の可能性を探りながらニューヨークを歩いていました。
そうすると、例えば食については、アメリカから日本に来て人気になっているものはたくさんあるのに、その逆は決して多いとは言えないことに気が付きます。
日本とアメリカと比べると、食文化については、歴史もクオリティも圧倒的に日本のほうが上だと思います。
しかし、実際は、アメリカの人気チェーン店は、どっかんどっかん日本で人気になるのに対して、日本のレストランチェーンは四苦八苦。
それどころか、ニューヨークでも、トロントでも、日本料理レストランのオーナーが、韓国人や中国人であることが多々あります。特に低中価格帯のレストラン。ちなみに、$100を超えるような高価格帯になると、美味しい日本食がニューヨークではいくらでも食べられます。
いくつかの$10前後の、韓国人や中国人のチェーンレストランを食べてみましたが、コメントしようがない。。。
弟と一緒に、韓国人経営者のグローバル展開しているsushi&bento屋に行ったとき、お弁当のチキンカツがあまりにも美味しくなくて、
「これを出すのは、日本人にも、アメリカ人にも、失礼だ!」
と弟が言ったので、なるほど!と笑ってしまいました。食の業界で働いている人ならではの意見です。
しかし、このようなチェーンが世界を席巻しようとしている。
私も、データでは知っていましたが、実際にアメリカ大陸に来て現実を見て、やはり残念に思いました。
しかし、彼らの料理はいまいちですが、マーケティングや、商品をマネタイズする技術は、日本人も学ばなければならないと思います。
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日本食ということからいったん視線を外すと、食に関しての意識が非常に高いのも、アメリカです。特に、アメリカの大都市部。
サンフランシスコに続き、ニューヨークでも、ファーマーズマーケットに行きましたが、本当にどの農作物も美味しい!
値段はかなり高いのですが、納得がいきます。
サラダをひとつかじるだけでも、みずみずしくて、驚くほどエネルギーに満ち溢れています。実際、このマーケットの周りのミシュランがつくレストランは、多くの野菜をここから仕入れているようです。
今回は運が良く、ニューヨーク在住で、ファーマーズマーケットツアーをしている方から色々と教わりながら、マーケットを歩くことができました。
日本では、野菜などを売ろうと思うと、どうしても農協が中心となっています。
農協が日本の農業において果たしている役割は非常に大きいのですが、販売チャネルがひとつしかないことは、決して良いとは思いません。
最近は少しずつ農作物直販サイトもでてきているようですが、ファーマーズマーケットのように、実際に農家の方が、決まった曜日に都市まで来て、消費者と対話しながら売買ができる場所を作ることは、日本でも大事なことじゃないのかなと思いました。東京の青山ではファーマーズマーケットがあるようなので、帰国したら一度行ってみたいと思います。
アメリカは、誰が作って、どのような肥料や農薬が使われて、ということを気にします。
地産地消も大事にしています。ニューヨークのユニオンスクエアのファーマーズマーケットでは、開催地の200マイル(320km)以内の農家でないと、そのマーケットに参加することができないと聞きました。
この流れは、おそらくそう遠くないうちに、日本にも来るのではないでしょうか。
アメリカでは、ファーマーズマーケットは、地域のNPOなどが主催していますが、日本では、ひとつの事業としてやっていくほうが、文化として育って行くと思います。
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新たに多くの人に出会うこともできて、非常に発見の多い、北アメリカ滞在となりました。
次はヨーロッパ。
ヨーロッパは、ほとんどの国に初めて行くことになります。
今回の世界一周のテーマである、各国の歴史や経済、食文化、そして人と出会いを楽しみながら、回って行きたいと思います。
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