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– Tomo's World Trip in 2015 –

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ロンドンでビジネススクールの授業に参加

   

ロンドンで、ビジネススクールの授業に参加させてもらいました。

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まず、教室に入ると、半円形に席が広がっていて、生徒は自分のネームプレートを置いて、席に座ります。
教室の真ん中には、先生がいて、その後ろには、プレゼンテーション。 

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たった1日授業に参加しただけで、ビジネススクールを理解できるわけではないですが、自分が感じたことを備忘録としてまとめておきたいと思います。

 

今回の授業のテーマは、「ブランディング」。
土曜日の朝8時半から3時半まで、1日かけての授業。
CACHARELというフランスのアパレル企業の、香水のブランディングを取り扱いました。 

イタリア人の女性教授は教室内を歩き回り、しっかりアイコンタクトをしながら、説明をしてくれます。しかも生徒を当てる時は、かならずその人の「名前」を呼びます。
この教授の授業を目当てに、アメリカのスタンフォード大学や、中国の香港大学から生徒が交換留学で来て参加しているのも頷けました。
授業中に退屈することがありません。
 

しかも、プレゼンテーションの資料が素晴らしい。一枚のスライドに文字がたくさん書いてあるということがまずありません。一枚のスライドには、ひとつのテーマのみ。非常にシンプル。にも関わらず、聞き損ねても、プレゼンテーションの資料さえ見れば、ある程度分かるように構成されています。

また、実際に企業が放映したCM動画もところどころ挟んでくれるし、香水自体もクラスまで持ってきていて、香りを嗅ぐこともできます。
国や言葉を超えて、すべての人にわかってもらうためには、写真や動画、そして実物を見せることが一番説得力があることを教えてもらいました。

このような授業を毎日受けて、経営や企業に必要な知識を効率よく吸収できることは、自分も起業を志す者として羨ましかったです。もちろん、本を読んでも知識自体は学べると思いますが、時間もかかりますし、仲間と意見を共有する機会がなかなかありません。ビジネススクールという学校を使ってそれができるのであれば、2年間で1000万ほどの授業料も価値があると思えました。 

同時に、MBAの授業では、学びにくいこともあります。

MBAの授業では、はじめにフレームワークという、大まかな基本公式のようなものを学びます。それをケーススタディを通して、どのように現場でフレームワークが使われるのか、実践していきます。
数学の勉強に例えると、公式を教えてもらって、いかにその公式を駆使して問題をとけるか毎週試してみるようなものです。問題を解くことは、慣れるにつれてどんどんと早くなります。

しかし、ここには、大事なことがひとつ抜けています。
その公式がどのようにできたのか、ということを考えることです。

企業でいえば、なぜその企業を作ったのか、なぜその事業を大きくしたり継続していく必要があるのか、という根本のところです。 

もちろん、MBAの授業でも、その根っこの部分が大切だということは教えてくれます。
しかし、この部分は教えてもらって学べるものではなく、最終的には、自分で膨大な時間を割いて考えていくしかありません。

 
MBAでは知識だったり、人脈だったり、外側で大事なことは、非常に効率よく学べる気がしました。しかし、自分がどうありたいかなどの内側については、きっかけはもらえても、自分で時間を作って考えなければいけないのかな、とも思いました。
 

*** 

もうひとつ、1日授業に参加してみて思ったことは、アジア人の勢い。

特にインド人。
まず、人数から圧倒的です。

80人ちかい教室の中で、15人以上はインドから来ているのではないでしょうか。授業中でも質問を繰り返すのはインド人。寡黙でじっくり考える人も多くいるので、質問を多くするからといって良いとは言えませんが、それでも彼らのパワーを非常に感じました。

授業の中で、日本人は、1-2人。

日本は、経済的には、現時点でアジアの中で発展していますが、その優位性も、もってあと10-20年だと思います。
戦後の日本の経済発展を支えてきたのは、エレクトロニクス産業と自動車産業。そのうち、エレクトロニクス産業は、すでに斜陽分野になってきています。そして、自動車分野のこれからのライバルは、メルセデスやフォルクスワーゲンではなく、グーグルやアップル、そしてテスラ。アメリカでテスラの売り場に行ったとき、電気自動車のフォルムを見て、部品の少なさに衝撃を覚えました。

日本には、完成品自動車メーカーの他に、自動車部品を作ることで支えられている企業や雇用が数多くあります。それが、おそらくこれからのイノベーションによって、大打撃を受けると思います。そうすると、ここ20年でエレクトロニクス産業で起こった世代交代が、おそらく自動車産業でも起こります。

もちろん、日本は幅広い産業に渡って多くの企業がある、素晴らしい国です。なかなか国営企業中心の国では難しい。
しかし、自動車産業が壁に当たると、大きな打撃を受けることは間違いないでしょう。
これからは、新たな産業を作り出さないと成長を続けられない。

そういう状況に置かれている今だからこそ、授業に出て、アジアの勢いを感じられてよかった。

日本という国は経済的には、アジアの中でまだかなり優位ですし、実際世界一周をしていると、多くの国の人が憧れをもって日本のことを見てくれていると感じます。その言葉や態度を鵜呑みにして、日本人がアジアの他の諸国の人に比べて優秀だと思っていたら、大間違い。それどころか、もう既に立場は逆かもしれない。
そのような危機感を感じました。

 

日本人として、刺激を多くもらえた1日となりました。
 

 - ヨーロッパ・北アフリカ(Europe / North Africa), 文化と経済(Culture and Economy)

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