tt-trip

– Tomo's World Trip in 2015 –

*

FCバルセロナの「ロゴ」と経営状況

   

カンプノウでのFCバルセロナの試合を観に、スタジアムに行きました。

017

026

運のいいことに、観に行った試合はスペインリーグの最終節で、バルセロナの優勝パレードと、下部組織から24年間バルセロナに在籍したシャビの移籍セレモニーもついでに見ることができました。

040

056

また、試合観戦とは別の日に、バルセロナでは、カンプノウツアー、そしてマドリードでは、サンティアゴベルナベウツアーにも行き、大人げなくはしゃいで帰ってきました。

サッカーファンには本当におすすめです。

ほぼ年中、スタジアムツアーはやっているので、試合がない時でもいつでも行けます。

全ての映像を見るつもりで行くと、半日はつぶれます。

私は、どちらとも2-3時間くらいだったのですが、まだ時間が足りんなーと思いながら、名残惜しくスタジアムを後にしました。サッカーにあまり興味ない人には、おそらく2時間あれば充分ですが。それでも、スタジアム自体が美しいので、行く価値は十分になると思います。

***

さて、カンプノウスタジアムのストアでFCバルセロナのユニフォームを見ながら疑問に思い始めたことがありました。

 

販売されているユニフォームの表には、「カタール航空」の文字が並んでいます。

それに対して、裏には、「ユニセフ」の文字。

vitaliser_nike-1211

 

これ、なんだか不思議。

まずは、ここ10年近く、バルセロナの試合をたまにテレビで見ていますが、数年前は、ユニフォームに何もロゴがなかったはず。数年前にユニセフのロゴが入り、それよりさらに最近に、企業の広告が入ったように記憶しています。
なぜ突如、ユニフォームにロゴが入ったのか。
また、どうして、営利企業とユニセフという、ある意味では相反するものが、ユニフォームの表と裏に書かれているのか。普通は、ユニフォームにロゴが書かれるということは、スポンサーなのでしょうが、では、カタール航空は納得いくとして、ユニセフとはどのような形態で、FCバルセロナと契約しているのか。

 

といういことで、調べてみました。

まず、一点目。なぜ、FCバルセロナのユニフォームにロゴが入ったのか。

これは、チームの財政難と関わっています。

1899年にバルセロナが創設されて以来、100年以上もの間、一切のロゴをユニフォームには載せてきませんでした。バルセロナは、「mes que un club(クラブ以上の存在)」という言葉をスローガンに掲げていますが、チームやサポーターも営利企業のロゴを入れないことを誇りにしてきたところがあります。

2000年代に入り、メディアの普及によって、サッカーは世界中が注目するグローバルな存在になってきました。そこで、何らかの手段でバルセロナのチームの理念を世界中に発信しようという動きが出てきます。
そして、ユニフォームの空いている部分を有意義に使おうということになります。
そのための一環として、空き部分にユニセフのロゴを入れることをチームは決意。
ユニセフの児童救済の活動が、バルセロナの理念と一致するという決断でした。

 

第二点目の、ユニセフとはどういう契約なのかという疑問の答えになりますが、バルサはユニセフのロゴを載せるために、年間150万ユーロ(約2億円)の寄付をする、という契約を交わしました。なので、バルセロナは、お金をもらってではなく、お金を払って、あのユニセフのロゴを載せています。

実際、社会貢献という意味では、バルセロナは、児童支援のユニセフだけではなく、ポリオ救済のビルゲイツ・メリンダ財団などにも寄付を行っています。2006年からクラブの収入の0.7%を、また2010年から選手やマネージャーの給料の0.5%を、様々な基金へ寄付しています。

しかし、サッカーがグローバルなスポーツとなり、選手の獲得競争が激化し、移籍金や年棒が高騰するに従って、多くのクラブの経営を圧迫するようになりました。バルセロナもその例外ではありません。結果、2009-2010年度の決算報告では、バルセロナの負債は、4億3000万ユーロ(約560億円)まで膨れ上がっています。

負債が膨れ上がったチームの経営を、どのように立て直すか。

そこで、バルセロナは新たな収入源としてスポンサー契約を求めました。紆余曲折がありながらも、最終的に合意したのは、カタール財団。2011年のクラブ総会で、賛成多数で契約が決まり、5年半で1億7000万ユーロ(約230億円、年間約40億)のスポンサー収入を得ることに。

カタール財団の文字がはじめは入っていたのですが、3年後にはスポンサー名を変更可能という契約により、2014年からは、「カタール航空」のロゴとなり、バルセロナのユニフォームには、クラブ始まって以来、初めて企業のロゴが入ることとなりました。

 

さて、これを良しとするかどうかです。

実際に、経営は一気に持ち直してきています。

わずか2シーズンで、負債は4億3000万ユーロから、3億3000万ユーロに削減。

経営状態が良くなるということは、良い選手を獲得できるし、チームの若手育成にも費用を使うことができます。また、バルセロナは、ユニセフへの寄付を増やすことも検討しています。

しかし、バルセロナのご意見番である、往年の名選手ヨハン・クライフは、いち企業のロゴを載せることは、バルサの歴史を否定し、ユニフォームを汚すことだと言っています。多くのサポーターもこれと同じで、心情的にはロゴに反対しているでしょう。

 

私としては、バルセロナほどのクラブならば、他にも解決策があると思っています。

長期的には、やはり、ファンにとっても選手にとっても、「mes que un club(クラブ以上の存在)」であり続けて欲しいと思います。

 

<参考ページ>
胸スポンサーを巡るバルサの騒動
バルサは伝統を捨てたのか?

 

 - ヨーロッパ・北アフリカ(Europe / North Africa), 文化と経済(Culture and Economy), 観光名所(Seeing Spot)

  関連記事

china shenzhen
中国国家の力強さ

はじめ、アジアでの日程を考えているとき中国は香港にしか行く予定ではありませんでし …

P1030235
ゆったりと時が流れる、マチュピチュ遺跡

南米の黄金ルート、マチュピチュとウユニ塩湖に行ってきました。 まずは、インカ文明 …

IMG_2853
ロサンゼルスの日本食と街の雰囲気

サンフランシスコについては、また色々と帰ってからゆっくりまとめるとして、取り敢え …

P1010921
メキシコシティ、世界遺産巡り!

メキシコシティを駆け足で巡っています。 なんとメキシコには世界遺産が32個ありま …

092
ミラノ万博① : Feeding the planet, Energy for life

ヨーロッパの旅も、いよいよ最後の国イタリア。 はじめはミラノから入りました。 ミ …

P1020304
ああ、大自然の驚異、イグアスの滝

イグアスの滝に行ってきました。   日本からだと、本当に遠い。 日本からブラジル …

P1020492
ブラジル、ユバ農場での3日間

ブラジルの最後の週は、ユバ農場に行ってきました。   友人からユバ農場と呼ばれる …

IMG_8893
中国人の日本への複雑な感情

中国にいる間、現地の中国人と話す機会がありました。 2週間の滞在で、15人くらい …

P1020142
遠いようで近い国、ブラジル。サンバ、サッカー!

日本から見て、地球の裏側にある国、ブラジルに来ています。 まずは、サンパウロから …

IMG_3557
夢の中の世界、ウユニ塩湖

さて、続いては、ウユニ塩湖です。 ウユニ塩湖は、多くの人から素晴らしいと聞いてい …