宗教とは何か?
アジアに入って、インド、タイ、マレーシア、インドネシアを回っていると宗教について考える機会が多くなりました。
インドは、ヒンドゥー教中心。
タイは、仏教中心。
マレーシアとインドネシアは、イスラム教中心。
タイのバンコクのビル街の道を歩いていると、反対側から歩いてきた20歳くらいの若い男の子が急に立ち止まり、体を歩道の脇に向け、手のひらを合わせて何かつぶやいて、再び歩き出しました。
彼の手を合わせた先を見てみると、小さな仏像がある。わずか数秒の出来事ですが、印象に残っています。
インドでも同じような場面に出会いました。もちろんヒンドゥー教の神様、ガネーシャなどですが。
また、マレーシアでは、ホステルの受付の人が夕方の時間帯、マットのようなものを廊下にひき、頭を地面にすりつけながら、メッカの方角に向かってお祈りをしていました。
ヨーロッパでは、カトリックとプロテスタントの違いはあれど、至る所にキリスト教の教会がありました。ヨーロッパの観光名所を巡る旅は、ある意味、教会を巡る旅でもあります。バチカン市国のカトリックの総本山、サンピエトロ大聖堂に行ったときは、ちょうどローマ教皇が一般の人々の前で話す行事が行われており、ローマ教皇の話を聞くために、数千人の人が集まっていました。
日常の中に、当たり前のように溶け込んでいる宗教。
日本で無宗教と思って生きてきた私にとっては、目新しく映るものも数多くあります。
しかし、日本人は本当に無宗教なのでしょうか?
改めて考えると、私たちの身の回りにも、数多くの宗教から生まれた行事があることに気づかされます。
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例えば、お彼岸やお盆の墓参り。
この日が近づくと、ああ、また祖父母のお墓に行く時期が来たなと、自然と思います。
小さいころから、両親に連れられてお墓参りに行っていたからかもしれません。
そして、お墓を綺麗にして、新しい水とお供え物を置き、手を合わせて帰ってくる。
特にお盆は、先祖の霊を迎え入れ、家族でゆっくり過ごす。
これらは、仏教(と神道)の習慣から生まれてきたものです。
また、女の子の節句である「雛祭り」は、もともとは、紙で作った人形を川に流し、穢れを祓うという神道行事。
子供が安全に成長したことの感謝として行われる「七五三」などといった通過儀礼も、神道と深く結びついています。
神社での初詣や、夏祭りは言わずもがなでしょう。
私たち日本人は、神や仏を信じて奉る、という意識は特になくても、こうした行事や祭りを通して、知らず知らずのうちに、神道や仏教に触れています。
私もそうですが、「自分は無宗教です。」という人でも、こういった影響を受けないで育った人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
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私たちの身近にある「宗教」。
簡単に世界の宗教についてまとめると、世界には三大宗教と呼ばれるものがあります。
キリスト教、イスラム教、仏教です。
キリスト教:
紀元0年ごろ発祥・宗教人口20億人・開祖はイエスキリスト・聖典は聖書
イスラム教:
610年発祥・宗教人口12億人・開祖はムハンマド・聖典はコーラン
仏教:
紀元前6-5世紀・宗教人口4億人・開祖は仏陀・聖典は仏教経典
(「常識として知っておきたい世界の三大宗教」より)
日本人にとってはなじみの薄いイスラム教は、なんと12億人もいるんですよね。アフリカと中央・西アジアを中心に広がっているので、なかなか日本で信仰者に出会うことはありませんが、世界的にみると、5人に1人はイスラム教徒ということになります。
私が訪れた北アフリカのモロッコでは、99%の人がイスラム教で、毎日5回、街中にお祈りの時間を知らせるアラビア語がスピーカーから流れていました。
その合図とともに、モスクに向かい、メッカに向かってお祈りを始めます。
モロッコでは、興味深い体験もしました。サッカーの試合を見に、食堂に人が集まっています。ファンであるFCバルセロナの試合だったので、私も現地の人に混ざって一緒に見ていましたが、つい、いつものくせで、ビールと言ってしまいました。その時、隣にいたモロッコ人が笑いながら、
「ここは特別なバーじゃないから、ビールはないよ。」
と教えてくれました。確かに、周りのテーブルを見ると、コーラやファンタを皆飲みながら試合を観戦しています。恥ずかしく思いながらも、本当にモロッコのイスラム教の人はアルコールを飲まないのだな、としみじみと感じたのを覚えています。
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さて、話を戻します。
今回のタイトルの、「宗教とは何か?」。
キリスト教では、イエスや聖書が心の拠り所となり、
イスラム教では、ムハンマドやコーランが心の拠り所となり、
仏教では、幅が広いですが、基本は仏陀や仏陀の教えが、その人の拠り所となります。
宗教とは、「心の支えとなるもの」だと考えています。
1000年以上、多くの人の心をを支え続けてきたという事実は、宗教は違えど、その教えの中に、人間にとっての真実が息づいていたからでしょう。
日本人は、無宗教だと言われます。
それは、日本人、特に今の若い人が、心の支えを特定の宗教ではなく、周りの人や自分に求めることが多いからではないでしょうか。
それでも、神教や仏教、そして儒教は私たちの生活の中に深く根付いています。
実は、自分の周りには、先人たちが築いてきた生き方の知恵やヒントが、そこら中に散らばっているように思います。
私は、世界を自分の眼で見たくて、世界一周を始めました。
しかし、世界を回れば回るほど、外の世界を見れば見るほど、自分にとって大切なものは、身近にあると考えるようになりました。
ふと海外で迷い、解決策を探し求めていたら、それは日本の文化や、私の今まで生活してきた中に答えがあったりするのです。
そして、それは、日本の古くからある文化や宗教、自然などを背景にして成り立っていることが少なくありません。
***
私たちは、物質的世界と精神的世界のふたつを、同時に並行しながら生きています。
このバランスを、常にとらなければならない。
しかし、便利さを追い求める余り、物質的世界ばかりに目を奪われ、精神的世界を疎かにしてしまっている自分がいます。このような人は私だけではないかもしれません。
日本で幸せですか?と聞いたら、多くの人が自分は幸せではない、と答えている現状。
もしかしたらそれは、物質的には満ち足りているけど、それに対して、精神的には満ち足りていないことが理由なのではないでしょうか。
「宗教」や「先人の教え」には、精神的世界を磨き、豊かにしてくれる道標があるかもしれない。
そう考えながら、これからは宗教に接していきたいと思います。
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