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– Tomo's World Trip in 2015 –

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ゴッホ兄弟との出会い

   

オランダのアムステルダムで、ゴッホ美術館を訪れました。

ファストチケットを買っていったのに、長蛇の列。
事前にチケットを買うと待たずに入れると聞いたので、チケット売り場で購入していったのですが、結局30分以上雨の中並ぶことに。

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しばらくたって、やっと入場することができたと思うやいなや、頭の中に衝撃が流れました。

当たり一面、全てがヴィンセント・ファン・ゴッホの絵。

もちろん、以前にゴッホの絵は別の美術館で見たことはありますが、ひとりの画家にこれほど焦点を当てて絵画を見るのは、初めての経験です。

時系列に並べてあるので、ゴッホの絵の変化を、彼の生涯とともに追っていくことができます。

彼は生涯を通して、田舎の生活に真実を探しています。
そして、風景や教会といった建物よりも、人々の眼を描くことに魅力を感じていました。

 

余談ですが、ゴッホは浮世絵からも相当な影響を受け、模写も数多く残しています。
この美術館には、その模写も数点展示しています。

浮世絵を見ながら、

「私は日本人が羨ましい。
彼らの作品はシンプルだ。
筆遣いは確かで数少ない。
彼らには、すべてのものに明瞭さがある。」

と言っていたようです。

彼が書いた浮世絵の模写がこちら。

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***

しかしながら彼の生涯中、自分の絵が売ることはほとんどありませんでした。

生前に売れた絵は、たったの1枚、そしてそれも親類が買ったものだと聞いています。
それでも彼は自分の信じた絵を描き続けます。
ここは今は美談となっていますが、画家として、絵が売れなければ、食べていくことはできません。

実は、裏で彼を支えてくれる人がいました。

弟のテオです。

テオは、ゴッホの唯一と言っていい理解者であり支援者で、金銭面で何年にもわたって兄をサポートし続けます。
ゴッホが自殺した後、不思議なことに、弟のテオもゴッホを追うように亡くなります。そして、彼らの死後、彼の絵が世の中に出たのは、テオの妻のヨーのおかげでした。ヨーはゴッホの絵の価値を伝えるのに、人生を注ぎました。ゴッホの絵は、テオとヨーがいなければ、これほど有名にならなかったのかもしません。
兄ヴィンセントと弟テオの墓は、並んで建っています。

それでも生前、弟との共同生活が性に合わないと言って自分から別れを告げたゴッホ。
親友であったゴーギャンとの共同生活でも、喧嘩ばかり。ゴーギャンとのけんかは、ゴッホ自身が自分の耳を切り落とすことで、幕を閉じます。ゴーギャンは、ゴッホは頭がおかしいと言って出ていきました。それ以来、二度と会っていません。
女性にも、告白して振られたのに家まで追いかけて行って、ストーカー扱いされる始末。

ゴッホは、人と付き合っていくのは、本当にできなかったようです。
このあたりは、あまり語られることはありませんが、ゴッホ自身も、ゴッホの周りの人も相当苦労したのでしょう。

しかし、彼は外側の人付き合いを犠牲にした代わりに、自分の内側を追い続けます。

そして、一目見れば誰もがゴッホの作品だと分かる、彼独自の作風を作り上げました。

明瞭で、力強く、人の心を平気で鷲掴みにするような絵。

気づいたら、4時間近くもゴッホ美術館にいました。
何度か帰ろうと思って出口に向かって歩き出すのですが、帰るのが惜しくなって、もう一度、絵を見に戻ってしまいます。そんなことを、何度か繰り返していました。

 

そして、ゴッホ美術館は、あることに気づかせてくれました。

ゴッホの絵はだれが見てもゴッホが描いたと分かります。
ピカソの絵は、誰が見てもピカソと分かる。
ルノワールの絵は、誰が見てもルノワールと分かる。
モネの絵は、誰が見てもモネと分かる。

印象派やポスト印象派と言われたりしますが、それは対象とどう向き合うかだけの違いで、あまり重要なことだとは思いません。

だれが見ても、その人の個性がわかる。

ここが大事なんだ、と。

ここに魅力があるんだ、と。

言葉にすると、簡単で当たり前のことです。
しかしながら、画家という存在は、たったひとつの自分の個性を表すことに、生涯を賭けます。
もし、ゴッホが、器用に色々な種類の絵を書き分けることができたら、これほど胸に届くものは描けなかったでしょう。

なんとまぁ、当たり前のことなのですが、私にとっては新しい大きな発見でした。

 

”自分の目の前にあるものを正確に写し取ろうとするよりも、

私は自分自身を表現するために、色彩をもっと自由に使う”

(ヴィンセント・ファン・ゴッホ)

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 - ヨーロッパ・北アフリカ(Europe / North Africa), 文化と経済(Culture and Economy), 観光名所(Seeing Spot)

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