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– Tomo's World Trip in 2015 –

*

砂漠と死

   

モロッコで2泊3日の砂漠ツアーに参加してきました。

ツアーと言っても、参加者は私ひとり。 
朝の8時にマラケシュを出て、12時間を超えるバス旅の末、夜の9時にメルズーガという、砂漠の隣街に到着。
着いて夕食を食べてから、夜の砂漠をラクダに乗って歩き、砂漠でまずは一泊という計画です。

 夕食後、言葉もあまり伝わらない状況で、ラクダ使いに導かれるように夜の闇の中に入っていきます。

あたりは真っ暗。

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右も左も全く見えない。
見えるものは、目の前にいるラクダとラクダ使いだけ。

夜というものの怖さを、痛いほど実感します。

ああ、彼を見失ったら、僕はきっと死ぬんだな。

その恐怖に駆られて、必死でついていくだけ。

 さらに、この日は運が悪いことに、風がすさまじい。
砂漠からの砂が頬や顔に当たり、目もうまく開けられません。

耳にも鼻にも、砂が紛れ込んできます。

 途中で、ラクダ使いの合図でラクダに乗り、砂漠の中に入っていきますが、風で目が開けられないため、どこに向かっているのか想像がつきません。
それでも、薄目をあけながら、なんとか目で追い、前にいることを確認し続けます。

 しばらく歩いて、ラクダ使いが、今日はやめよう、風が強すぎる、

という内容のことを言いました。

私は、そうですね、と。正直、安堵。

これ以上、この闇の中を歩き続けるのは、怖くて仕方がなかった。 

宿泊先に戻り、その日は眠ることに。

***

次の日の朝早く起きて、ラクダに乗って、目的地に向かいます。

相変わらず、強い風。
しかし、しっかりターバンも巻いてもらったので、今日は耳や鼻に入る砂は防げます。 

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しかも、太陽が照っている。
砂漠が見える。

昨晩と同じ道を歩いているはずなのですが、明るいというだけで、こんなにも心は安らぐものなのか。太陽とは、こんなにも有難いものなのか。
2時間ほどラクダに乗って、目的地のテントに到着しました。

本来であれば、ここからブラックデザートという、岩の大地に行くはずなのですが、天候により、これも取りやめ。
砂漠の真ん中で一泊することを決めます。

 テントの中では、特にすることもなく、宿泊先に置いてあった本を借りてきていたので、それを読んでいました。宮本輝さんの「三十光年の星たち」。
上下巻を読み終わると、夕方。
少し風も収まってきたし、外にでてみようということで、1人で砂漠を歩いてみます。

 ここまでは、ほとんどラクダに乗って来たので気づかなかったのですが、自分の足で歩くと、どれだけ砂漠は歩きにくいのか思い知らされます。

砂に足がとられて進まない。

10メートル進むのに、四苦八苦。

それでも、汗だくになりながら、近くの砂丘の頂上を目指して進み、上がったと思った瞬間、信じられないような強い風が、目の前から砂とともに吹いてきました。

立つので精いっぱい。

すぐに、風を避難するため、砂丘の裏側に腰を下ろし、周りの景色を眺めました。

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辺り一面、砂漠。
ここは、死と隣り合わせの場所だな。

そう思った瞬間、ああ、生きているなぁ、と。

 生きていることが素晴らしいとか、生かしてくれて有難うとか、そういうことではなく、

ただ、生きているのだなぁと。

 正直、体は砂まみれだし、シャワーもテントにはもちろんないし、トイレは青空トイレだし、体もきたないまま寝るし、快適なことなんか何もない。

しかも、今回は風が強く、星空なんて全く見えなかったし、食べ物にも砂が混じって、食べてみるとがりがりいう。
すぐにでも帰りたい。
1-2泊以上は、体が持ちません。

 でも、旅人は、アフリカを旅するとまたこの地に戻ってきたいと言うのだ、どこかで読んだ本に書いてありました。
私は、砂漠に少し足を踏み入れただけ、
それでも、少しこの言葉の意味が分かる気がします。

 生と死は、常に近くにある。
そして、大地とともに、自分は生きている。

そのことをアフリカは実感させてくれるのでしょう。

テントの中で、アフリカの音楽を、太鼓と弦楽器で演奏してくれました。
単純な音の振動が、心の琴線に触れてきます。

 

アフリカのサバンナにも、いつか行ってみたくなりました。

 

 - ヨーロッパ・北アフリカ(Europe / North Africa), 観光名所(Seeing Spot)

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